私の経験例
頭痛を主訴とし,定型的皮疹を欠いたSLE
川崎 森郎
1
1札幌鉄道病院第1内科
pp.1989
発行日 1977年12月5日
Published Date 1977/12/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207573
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患者は40歳の主婦.頭痛を主訴として来院.家族歴に特記すべきことなく,既往歴では坐骨神経痛とピリン過敏症があるという.全身状態は良好で理学的に異常所見なく,血圧136/80mmHgであった.ただ両下肢に網の目状の紅斑がみられ,これは37歳頃より現れ,立位を長くつづけていると増悪するとのことであった.頭痛のほかに肩凝り,腰痛などいくつかの症状をとりとめなく訴え,印象としては更年期障害のごとくであった.下肢の皮疹のため皮膚科を受診させるとLivedo racemosaと診断され,皮膚生検所見はallergic angitisであった.この時,梅毒反応ガラス板法(+),TPHA(-),RA(-)で,赤沈は1時間値95mmと亢進していた.さらに腰痛のため整形外科を受診,オパイリンの投与を受けたところ発熱,顔面潮紅,浮腫が現れたが数日で軽快した.尿蛋白は陰性であった.その後リウマチとして時折出没する軽い関節炎や頭痛に対し,内科,整形外科で対症的に治療を受けていた.しかし,薬剤アレルギーを有すること,allergic angitisの組織所見を示したことなどから,より重大な免疫異常状態が潜在することが疑われてはいた.約半年後,咽頭痛にはじまり39℃に及ぶ発熱の持続と全身の強度の関節痛が出現し精査のため入院した.Livedoを除いて発疹はなく,脱毛,咽頭潰瘍も認められなかった.
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