臨時増刊特集 診断基準とその使い方
II.呼吸器疾患
縦隔腫瘍
吉村 敬三
1
1浜松医大第1外科
pp.1762-1766
発行日 1977年12月5日
Published Date 1977/12/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207505
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概念
縦隔とは本来いくつかの臓器と結合組織とを含むごく薄い隔膜につつまれたもので,通常この部分には心臓,大血管(動脈および静脈),気管(支),胸腺,食道などの主要臓器と,これに付随した漿膜,血管,神経などいくつかの重要な組織が含まれる.また隣接臓器としては胸膜および肺があり,胸管,リンパ管など,また横隔膜や胸壁を形成する脊柱,胸骨肋骨および軟部組織がある.
一般的には,このうち心・大血管,気管(支),食道などから発生する腫瘍は他に記述し,胸腺およびその付近の組織から発生する真性腫瘍と,実地臨床的にはさらに炎症性腫瘤,転移性悪性腫瘍や先天性のう胞など,あるいは全身の系統的疾患の一分症としてあらわれた腫瘍(瘤)なども含めて,はなはだ漠然とした意味で,使用されている場合が多い.
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