今月の主題 呼吸不全とその管理
慢性呼吸不全の管理
理学療法
伊藤 直栄
1
1国立療養所東京病院付属リハビリテーション学院
pp.1572-1573
発行日 1977年11月10日
Published Date 1977/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207452
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はじめに
慢性呼吸不全に対して呼吸訓練や体位排痰法が理学療法として用いられてきているが,日本での普及は欧米に比して非常に低いようである.これは理学療法士にも責任の一端があると思われる.しかし,徐々にではあるが効果を認めてきていることも事実である.それでは,これまで用いられてきた呼吸訓練,体位排痰法が,どの程度有効であり,逆に害はないのか,ということになると,一言ではいえない.たとえば,喘息に対して体位排痰法の処方が医師より出されることがあるが,大部分の喘息患者はこれを拒否したがる.その理由は,排痰法を行うほどの分泌物が気道内にないことが多いからである.
また,排痰法によって誘発される咳の害は最小限度にするように手技も改良されてきている.一般には体位排痰法を行いながら,患者に咳を強要し,排痰を促進させる,という方法をとっているが,筆者は咳のもたらす気道への強いストレス,横隔膜の肋骨への付着部に与える過緊張による痛み,全身的疲労などを少なくするため,1973年より4年間にわたって体位排痰法に種々の改良を加えてきたので紹介する.
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