今月の主題 浮腫と臨床
循環器疾患と浮腫
血管炎
塩川 優一
1
1順大内科
pp.1250-1251
発行日 1977年9月10日
Published Date 1977/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207354
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血管炎とは
血管炎とは血管壁をおかす炎症過程で,種々の原因で起こるが,とくに膠原病においてしばしばみられ,また重要な臨床所見である.主として動脈がおかされるが,毛細血管,静脈も同様におかされる.膠原病における血管病変は細胞浸潤と壊死より成る.細胞浸潤は最初は好中球より成り,時に好酸球を混じている.のちにリンパ球を主とする円形細胞浸潤となる.同時にフィブリノイド壊死を呈する.これらの血管病変による臨床症状は,おかされる血管の大小,部位,病変の程度などにより大きく左右され,病変の範囲が大きくても意外に症状の少ない時や,小さくても症状の重いことがある.
血管炎で著しい浮腫を伴うのはまず静脈で血栓を伴う場合が最も多い.また膠原病においては表在性の血栓性静脈炎がしばしば,とくに上下肢にみられる.そのほか,膠原病では異常蛋白血症,低蛋白血症,心不全,腎機能不全などの要因が加わる.また慢性関節リウマチにみられる朝のこわばり,全身性強皮症の皮膚の変化のような特殊な浮腫もみられる.これらを含めて,膠原病の各疾患における浮腫の状況とその血管炎との関係を概説してみたい.
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