今月の主題 癌治療の最前線
問題となる癌の治療の実際
脳腫瘍
竹内 一夫
1
1杏林大脳神経外科
pp.1134-1135
発行日 1977年8月10日
Published Date 1977/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207317
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はじめに
種々の脳腫瘍の中で癌の治療法が応用されるものは,主としてグリオームと転移性腫瘍である.本稿では前者に対する最近の治療法の概略を述べてみたい.
グリオームの征服は,Cushing以来すべての脳神経外科医の夢である.とくに手術的治療の限界をこえる悪性グリオームに対しては,種々の補助療法がくり返し試みられているが,未だにみるべき効果があがっていない.確かに,診断法の進歩や各種の患者管理法の確立により,グリオーム全体としてみれば治療成績は向上している.また悪性グリオームに対しても,少なくとも術後1〜2年の生存率は改善している.しかし,長期の延命効果をみると,一般には極めて貧しい状態である1).
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