話題
糖尿病の経口剤療法—糖尿病学会モノテーマシンポジウムから
池田 義雄
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1慈恵医大第3内科
pp.426-427
発行日 1977年3月10日
Published Date 1977/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207128
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糖尿病の治療に経口血糖降下剤(経口剤)が登場してから,すでに20余年をへている.インスリンの発見以来,糖尿病の治療薬として経口剤があれば,というのは長い間の夢だったかもしれない.1955年,カルブタマイドの登場はその夢を実現させる第一歩であった.しかし,今日用いられている経口剤療法には,いく多の問題が由積されている.
1959年,アメサカのUGDPは経口魏が糖尿病に特有な血管合併症に対して,はたしてどのような影響をもつものかを明らかにすべく,prospectiveなstudyを開始した.1970年,10年間の観察期間をへた成績が発表されたことはすでに周知のところである.その結果,SU剤(トルブタマイド)もまたビグアナイド剤(フェンホルミン〉もいずれも糖尿病に伴う血管合併症,とくにmacroangiopathyに対して,なんらよい影響をもたらすことなく,統計的にはこれら薬物を使用した患者のなかに,ほかの治療(食事療法,インスリンあるいはプラセボのみ)と比較して有意に血管障害が多かったという非常に衝撃的な事実を明らかにした.
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