今月の主題 消化器癌のトピックス
膵癌
臨床症状と機能検査
竹内 正
1
,
斉藤 明子
1
1東女医大消化器内科
pp.190-191
発行日 1977年2月10日
Published Date 1977/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207061
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はじめに
膵癌は,癌のなかでも肺癌,前立腺癌とともに増加傾向の著しいものであり,本邦での訂正死亡率は,1950〜1951年と比べると,1970〜1971年では約5倍に増加している.これは,人口が高齢化したためばかりではないことは,各年齢層別にみたときにもその増加がみられることによっても明らかであり,また,診断法の進歩により正確な病名がつけられるようになったことも一因とみられるが,こればかりですべてを説明することは困難であろう.欧米諸国でも,このような膵癌の増加が知られている1).
はっきりした臨床症状が出現する以前に,周辺臓器や動静脈,リンパ節に転移することが多く,現実問題として,診断可能になったものの,治療に結びつかない例が少なくない.消化器癌のなかでも,最も今後に残された問題のある癌のひとつである.
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