今月の主題 消化器癌のトピックス
食道癌
外科療法と予後
秋山 洋
1
1虎の門病院消化器外科
pp.172-174
発行日 1977年2月10日
Published Date 1977/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207055
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
近年,食道疾患研究会による食道癌取り扱い規約1)が定められ,その進行度が,A(外膜浸潤),N(リンパ節転移),P1(胸膜播種性転移),M(臓器転移)の各因子の程度によって定あられた.この組み合わせにより,Stage分類が定まり(表1),進行度が規定されるようになった.この進行度は各因子の組み合わせによるものであり,現時点では,規約の制定上やむを得ないことであるが,各因子の判定についてもある程度の主観がはいり,それがそのままStageに反映されるわけである.しかしながら,大局的にみて,この進行度分類が次項に述べるように食道癌の外科療法施行後の予後の判定に役立っていることは事実である.
食道癌の治療は,もちろん外科療法のみならず,術前照射に始まる放射線による合併治療は,術後照射の段階にまで,きめ細かく用いられ,場合によってはブレオマイシンによる全身療法や局所注射療法,ひいては最近の免疫療法の総合的なものである.したがって,外科療法の予後といっても,それらの総合的治療の結果にほかならない.本稿では,最初にこれらの合併療法を含めた意味での,病期分類による全国集計の予後を参考として述べ,それから,最近検索している末梢血リンパ球のsubpopulationについて,現時点での短期予後との関係をいささか検討することができたので,その結果について報告する.
Copyright © 1977, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.