内科専門医を志す人に・私のプロトコール
糖尿病/寄生虫疾患
田中 亮一
1
,
高橋 唯郎
2
1阪大第4内科
2北里大内科
pp.2207-2208
発行日 1976年12月10日
Published Date 1976/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207004
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糖尿病とは,インスリン作用の不足に基づく代謝異常で,発症には遺伝的因子を基礎に発症因子が関与した疾患で,発症因子が継続し代謝状態が悪化すれば,血管障害などの合併症を起こす.したがって,発症因子を除去し,適切な治療を施すことによって,これらの代謝異常およびその合併症は,ある程度可逆性となる.このような特徴をもつ疾患群が糖尿病として総括されるが,当然いろいろなタイプがあり,それぞれ内容を異にし,その特徴をつかみ対処しなければならない.
この症例は,20年来の糖尿病で,遺伝歴は明確でないが,成人発症型で,主たる発症因子である肥満が持続し,また,コントロール不十分なため,血管障害としての脳血栓症,細小血管症の網膜症,腎症,さらに感染症を合併した.血糖のコントロールは,肺化膿症合併時はインスリンにて,軽快後は内服剤にてコントロールし得た.この症例の場合,インスリン使用のため,免疫学的測定法による血中インスリン測定は不可能で,残存B細胞分泌能は,CPR(C-peptide immunoreactivity)測定により知り得た.この結果,内因性インスリン分泌能が保持されていることが判明し,内服剤に変え得た.肺化膿症は,脳血栓症による誤飲のたあと考えられ,今後、再発すれば,当然インスリン治療に変えねばならないだろう.
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