今月の主題 ミオパチー最近の進歩
自己免疫疾患
多発性筋炎
高柳 哲也
1
1名大第1内科
pp.2151-2153
発行日 1976年12月10日
Published Date 1976/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206986
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多発性筋炎は進行性筋ジストロフィー症,周期性四肢麻痺,重症筋無力症などとともに,ミオパチーとして代表的な疾患であり,ミオパチー疾患の診断に際しては,鑑別上忘れてはならない疾病のひとつである.従来より,皮膚筋炎は多発性筋炎として一括して考えるのが一般的であり,これまで多発性筋炎の分類は諸家により多くの分類がみられるが,現今,最も多く使われてきているWalton-Adamsの分類1)あるいは神経筋疾患の研究グループによる分類(表)いずれでも,皮膚筋炎は多発性筋炎の一群として考えられている.
多発性筋炎は,一方では多発性筋炎症候群として考えられ,また,診断されることがあり,その病因として多くのものがみられるが,これらの病因の明らかなものを除き,これまでの研究から,自己免疫疾患に属せしめるのが最も妥当と考えられる狭義の炎症性ミオパチーを多発性筋炎として扱う.しかし,多くの証拠は認められても,本症が自己免疫疾患として確立されたとするには未だ程遠く,その裏づけには今後の研究の進展を期待せねばならない.また,狭義の多発性筋炎と考えられるものの中にも,病因上から感染,中毒などの要因を全く否定しえない場合もあり,多面的に十分な検討を必要とすることも少なくない.
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