特集 内科診療にガイドラインを生かす
リウマチ・膠原病
多発性筋炎・皮膚筋炎
高田 和生
1
1東京医科歯科大学国際交流センターグローバルキャリア支援室
pp.392-396
発行日 2013年11月1日
Published Date 2013/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402107136
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内科診療に役立つ国内外のガイドライン
多発性筋炎・皮膚筋炎については,国内外を通じて診療ガイドラインは存在しない.診断については,1975年に発表されたBohanとPeterの診断基準1)が世界的に用いられてきたが,以下に述べるように今日の診療への適用には限界がある.日本では,疫学統計を目的とした診断基準〔1992年厚生省(当時)自己免疫疾患調査研究班作成〕が存在する.他方,治療については,質の高いエビデンスがきわめて少ないこともあり,国内外を通じてコンセンサスの得られたガイドラインは存在せず,単一医療機関からの治療推奨提案2)程度に限られる.なお,皮膚筋炎に対する免疫グロブリン大量静注療法に関しては,アメリカ神経学会からのガイドラインが存在する3).日本では,公益財団法人難病医学研究財団による難病情報センターが,医療従事者向けに多発性筋炎・皮膚筋炎の診断・治療指針を公表している(http://www.nanbyou.or.jp/entry/293).これは厚生労働省難治性疾患克服研究事業免疫疾患調査研究班(自己免疫疾患)より提供された情報に基づくものである.また,多発性筋炎・皮膚筋炎に合併した間質性肺炎の治療については厚生労働科学研究費補助金(免疫アレルギー疾患予防・治療研究事業)の一環として公表された治療ガイドラインが存在する4).国際的に広くコンセンサスの得られたガイドラインがなく,また特に合併する間質性肺炎の重症度が日本やアジアの人種において高いことを示唆する報告などを鑑み,日本においてはこれら診断・治療指針や治療ガイドラインを参考に,多発性筋炎・皮膚筋炎の診療が行われている.
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