臨時増刊特集 日常役立つ診療技術
診断篇
III.循環器系疾患の診断技術
3.His束心電図
比江嶋 一昌
1
1東医歯大第1内科
pp.1680-1684
発行日 1976年12月5日
Published Date 1976/12/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206870
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従来,His束の興奮電位を記録する方法としては,細胞内へ0.5μ内外のガラス電極を刺入して,1個のHis束細胞の活動電位を直接記録する微小電極法と細い針や円板などの電極により,His東上の心内膜面から全体のHis東電位を記録する表面誘導法とがあり,それぞれ刺激伝導系に関する実験的な研究に用いられてきた.
一方,以前より心臓カテーテル検査時,電極カテーテルでもってHis東電位を記録せんとした試みはあったが,特殊な例を除いては,その記録がほとんど不可能であった.ところが,1969年Scherragら1)は,ちょっとした工夫によって,His東電位の安定した記録を可能にした,それ以来,この方法は短期間に世界各国に普及し,これにより臨床電気生理学の分野は急速な進歩を遂げるに至った.このように,電極カテーテルで記録されたHis東電位を,前述した表面誘導法によるものと区別する意味で,His束心電図(His bundle electrogram)と呼ぶ.
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