今月の主題 知っておきたいリハビリテーションの技術
技術としてのリハビリテーション
上田 敏
1
1東大リハビリテーション部
pp.1042-1043
発行日 1976年8月10日
Published Date 1976/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206674
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技術としてのリハビリテーションは多種専門(multidisciplinary)の,包括的(comprehensive)なものであることを最大の特徴とする.これはいうまでもなく,理念としてのリハビリテーションがめざす「全人間的な権利の回復」に照応している.つまり,理念としてのリハビリテーションの狙いは深いので,その狙いを達成するためには,技術そのものが複雑な構造をもち,多数の専門家の協力を必要とするものにならざるを得ないのである.「リハビリテーションはチームワークだ」といういい古された言葉は,実は技術のあり方自体の本質を示す言葉でもある.
しかし,"Everybody's business is nobody's business."でもある.チームワークやmultidisciplinaryという美辞麗句のかげに,結局誰が責任をとるのかわからない無責任体制があぐらをかいていても困るし,どこに核心があるのかわからない散漫な各種技術のよせ集めが「リハビリテーション医学」という立派な新しい学問なのだと主張されても大方の納得は得られない.そこで技術としてのリハビリテーションをその学問的な根にまでさかのぼりながら考え直してみることが必要となり,それがこの小論の狙いでもある.まずいくつかの基本技術を眺めてみよう.
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