今月の主題 肺癌—その理解と対処のために
治療
B. A. I. の適応と効果
尾形 利郎
1
1国立がんセンター・外科
pp.1831-1833
発行日 1975年11月10日
Published Date 1975/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206304
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はじめに
悪性腫瘍に対する動注法は,副作用のために使用量の制約を受ける制癌剤の投与を,支配動脈を投与経路に選ぶことによって,目的とする病巣に薬剤を集中化し,効果と副作用の比率を有利に導こうとするところに発想の原点がある.原発性肺癌の支配動脈は一般に気管支動脈であり,病巣部に分布する気管支動脈に制癌剤を注入することをBronchial Arterial Infusionといい,B. A. I. と略して使用されている.
しかし,肺癌はその病巣の拡がり,組織構築の状態によって必ずしも気管支動脈のみが支配動脈であるとは限らず,肋間動脈,縦隔内諸動脈,あるいは肺動脈系などから血流を受けている場合もある.したがって,このような症例に対しては気管支動脈以外にこれらの動脈系からの薬剤投与が当然考慮されねばならず,また実際に行われているが,ここでは気管支動脈内制癌剤投与を中心に,肺癌の制癌剤動注法の適応と効果について検討してみよう.
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