今月の主題 感染症—最近の話題
細菌感染症—原因菌の変遷
エルシニア感染症
善養寺 浩
1
1東京都立衛生研究所・微生物
pp.1166-1167
発行日 1975年7月10日
Published Date 1975/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206114
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ここ10年来,エルシニア感染症はとくに欧州において注目されてきているが1),2),日本では1972年筆者ら3)が,Yersinia enterocolitica感染症例を報告するまで関心はもたれずにきた.その後,日本で数百名の患者を数えたY. enterocolitica感染の集団発生が小・中学校を舞台に相ついで4件も起こり4),またそれらの症状が従来の食中毒型の腸炎とは異なることから,公衆衛生領域で急速に関心を集めてきた.
臨床的には,属Yersiniaの菌は終末回腸炎,虫垂炎,ある種の自己免疫疾患,さらに重篤な敗血症さえも起こすことが知られ,近年臨床各科においても広く研究が進められている.
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