特集 プロの技としての身体診察
【プロが見落とさないsign】
Tinel's sign,Phalen's test
森谷 浩治
1
,
牧 裕
1
1(財)新潟手の外科研究所
pp.226
発行日 2009年3月15日
Published Date 2009/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101649
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Tinel's sign
1915年10月,フランスの神経病学者Jules Tinelは「損傷を受けた神経幹上を軽く叩打すると,ある部位で正確にその神経の末梢知覚支配領域にうずく感じ(蟻走感,Fourmillement)が生じる」と述べた.すでに同年3月ドイツの生理学者Paul Hoffmannも同様な報告をしており,現在,本徴候を指してTinel's signもしくはHoffmann-Tinel's signと称している1).
手根管症候群(Carpal Tunnel Syndrome : 以下CTS)における正中神経傷害はSunderlandの末梢神経損傷分類ⅠまたはⅡ度に該当し,その正中神経組織標本では脱髄,Waller変性,軸索再生が混在している2).したがって,外傷ではないCTSにおけるTinel's signは,このなかの軸索再生をとらえていると推測される.
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