特集 これだけは知っておきたい検査のポイント
VIII.血液化学検査
K
白井 大禄
1
,
飯田 喜俊
1
1大阪府立病院・腎疾患センター
pp.592-593
発行日 1975年3月20日
Published Date 1975/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402205923
- 有料閲覧
- 文献概要
異常値を示す疾患
生体の総K量は3,000〜4,000mEq(45〜55mEq/kg体重)あり,主として細胞内に分布しており細胞外には約2%が含まれているにすぎない.したがって血清K値の異常値は必ずしも体内のKバランスをただちに示しているのではなく,表に示したごとく体内総K量との関連からその異常値を読む必要がある.
普通食物から摂取されるK量は1日約150mEqで,正常腎は血清K値をほぼ一定に維持するためその85〜90%を腎より排泄することからも明らかなごとく,腎に異常があれば血清K値に異常をきたしやすい.ことに慢性腎不全末期や急性腎不全乏尿期など腎よりのK排泄機能の低下がみられるときには高K血症は必発であり,出血,蛋自異化作用の亢進,脱水症,代謝性アシドーシスなどが加われば,血清K値は異常高値を示す.また逆に急性腎不全回復多尿期,慢性腎盂腎炎,尿細管性アシドーシスなど腎のK保持能の低下があるときには腎より容易にKを喪失し低K血症となる.また腎尿細管におけるK代謝は,Na代謝,酸塩基平衡副腎皮質ホルモン,利尿剤などと密接な関連があり,異常値をみたときこれらとの関連を考慮する必要がある.ことに低K血症からアルドステロン症が発見されることはしばしばであり,また最近は降圧利尿剤としてサイアザイド剤の長期連用による低K血症,逆にスピロノラクトンやトリアムテレンによる高血症などがある.
Copyright © 1975, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.