特集 これだけは知っておきたい検査のポイント
VI.血液検査
出血時間
山中 學
1
1東大中検
pp.496-497
発行日 1975年3月20日
Published Date 1975/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402205882
- 有料閲覧
- 文献概要
異常値を示す疾患
出血時間の異常はその延長である,異常値を示す疾患を表に示した.出血時間は皮膚毛細血管を穿刺して,湧出する血液が自然に止まるまでの時間であるが,その異常を反映する本態については不明な点が多い.毛細血管が損傷されると,一過性の血管収縮が起こる.そして損傷部位に血小板が粘着凝集して血小板凝集塊(血小板血栓)をつくる.この凝集塊が血管の破損個所を埋めて出血を止める.これを一次止血といい,ここまでの時間を出血時間という.実際には血管からの出血は血管周囲組織の穿刺孔を通り皮膚面に到達し,乾燥した皮膚面で外気に曝されるので,その間の種々の要因の影響も受けることになる.しかし,一般的には,血小板数の減少,血小板機能(質的)低下で出血時間が延長し,凝固因子異常は極端な減少のほかは正常と考えてよい.
血小板減少をきたす疾患は特発性血小板減少性紫斑病と,症候性血小板減少症である.先天性のものは稀である.症候性は白血病,再生不良性貧血,悪性貧血などの血液疾患のほか,悪性腫瘍の骨髄転移,SLEがあり,数のみならず機能的異常を伴うことがある.血管内凝固症候群は,基礎疾患を常に念頭におくことが大切である.
Copyright © 1975, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.