今月の主題 心身症からみた症候群
心身症からみた症候群
過敏性大腸症候群と潰瘍性大腸炎
川上 澄
1,2
1弘前大教育学部看護学科
2弘前大内科
pp.284-286
発行日 1975年3月10日
Published Date 1975/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402205810
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はじめに
過敏性大腸症候群(irritable colon syndrome)は純粋に機能的な大腸疾患で,大腸の神経筋機構に失調が生じて,大腸が正常の機能を発揮できない病態と定義される.すなわち,本症候群は従来spastic colon,nervous diarrhea,colica mucosa,functional colitis,などと10余の慣用語で呼ばれていた大腸疾患を,大腸の運動機能および分泌機能の異常に基づく疾患として一括整理・統合されたものである1).一方,潰瘍性大腸炎(colitis ulcerosa)は,多元的な原因が重なり合った大腸の慢性の炎症性病変の終局的な病態で,現在のところやはり1つの症候群と考えられている2).
消化管は心の鏡といわれるごとく,生理的にもその機能は心理的因子の影響を受けやすいものであるが,これら両疾患はともに,臨床の診療の場では,心身医学的な取り計らいが重要な意義を有する症例が多い.
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