今月の主題 心身症からみた症候群
心身症からみた症候群
胃神経症と消化性潰瘍
並木 正義
1
1北大第3内科
pp.282-283
発行日 1975年3月10日
Published Date 1975/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402205809
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胃神経症
一般に,神経症のなかで,胃に関連した症状が前景にでていて,それが患者の主な訴えとなっている場合に,胃神経症という表現が用いられている.また,胃と密接な関係にある腸の問題を含めて,胃腸神経症として述べられることが多い.
胃神経症は心臓神経症とともに,いわゆる器官神経症のうち頻度の高いものとして昔から知られているが,この両者がなぜ多いかについては,胃も心臓も情緒的因子を敏感に反映する自律神経の影響を最も受けやすい臓器であること,両方とも内臓諸器官のうちとくにその異常を感知しやすい臓器であること,さらに胃も心臓も人間の生命維持には最も大事な臓器であるといった観念を多くの人が抱いており,したがって,その異常は不安と恐怖の感情をひき起こしやすいなどの理由があげられよう.
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