今月の主題 手術適応の問題点
特殊な状態における手術適応
子宮筋腫で妊娠したとき
古谷 博
1
1順大産婦人科
pp.1296-1297
発行日 1974年10月10日
Published Date 1974/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402205614
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はじめに
子宮筋腫は元来が多発性の良性腫瘍であり,その芽ともいうべきものは,すでに思春期の子宮筋層内に多数形成されている.この多くの筋腫芽のうちどれが,いつから,何が原因で,どのくらいの発育速度で,どの方向に向かって発育していくかという,筋腫の臨床的発症の機序についてはほとんど不明である.
実際に子宮筋腫結節が単発的に著明に腫大し,それによって一群の臨床像が出現していると考えられる場合でも,摘出子宮を観察すると,結節以外の部位の筋層内に小結節ないし微小結節が多数発生しているのを見出すことが多い.また臨床症状からみても,腫瘤感だけがあって,その他には全く病的な症状を伴わないものから,腫瘍はそれほど大きくなくとも,過多月経,貧血,月経困難症,不妊など種々の症状が顕著なものまでがあり,一口に子宮筋腫といっても細かい点からみれば,症状はかなり多様である.
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