診療相談室
肝硬変症による低蛋白血症に対する綜合アミノ酸剤の点滴静注
市田 文弘
1
,
田代 成元
1
1新潟大第3内科
pp.1348
発行日 1973年10月10日
Published Date 1973/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402204941
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質問 肝硬変症による低蛋白血症に対する綜合アミノ酸剤点滴静注の効果,およびその批判についてご教示ください.(横浜市 K・K生 48歳)
答 肝障害が高度になると,アミノ酸の処理,および利用の低下が起こり,血清遊離アミノ酸の増加やアミノ酸尿をきたし,また臨床的には明らかなアルブミンの合成能力の低下による低蛋白血症をきたす.肝硬変の治療も障害された肝組織の修復,再生を促すとともに乱れた代謝機能の是正,維持にあるが,一般には,Patekの提唱以来,高タンパク,高カロリー食が基本的な治療になっている.しかし,肝硬変の病態で,代償期にあるものと非代償期にあるものとでは異なり,就中,前昏睡期のものては高蛋白食あるいはアミノ酸の補給については,アンモニアの代謝面.アミノ酸自体の中毒性作用からも考慮されなければならない.近年,アミノ酸の測定が液体クロマト,あるいはガスクロマトグラフィ法によって容易に行なわれるようになり,漸くこの分野における病態の機構が解明されようとしているが,治療面まで及んでいないのが現状である.
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