今月の主題 膵疾患診断法
特殊検査法の意義と限界
内視鏡的膵・胆管造影法
大井 至
1
1東女医大・消化器内科
pp.1267-1270
発行日 1973年10月10日
Published Date 1973/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402204923
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適 応
内視鏡的膵・胆管造影法は.膵管と胆管系を非観血的に簡単に造影する検査で,膵管と胆管系の形態学的検査法としてその適応は広いといえる.最近1年間に行なった292例の検査前の臨床診断をみると,表1のように黄疸,上腹部腫瘤,上腹部痛などが43例.15%,膵の精査が92例,32%.肝を含む胆管系の精査が158例,54%となっている.表から明らかなように,最近では,胆石症などが疑われて,胆管系の精査のためにこの検査が行なわれる場合が138例,47%と圧倒的に多い.
膵疾患に限ってみると,大部分は慢性膵炎あるいは膵腫瘍の疑いで検査が行なわれているが,実際は膵疾患が疑われるあらゆる症例が検査の対象となっている.しかし.表2にみられるように,これらの症例で膵管造影により膵疾患が疑われる所見を示したものは決して多くはない.この成績は,膵疾患がかなり甘い基準で疑われ,検査されていることを示しているが,現時点ではこれ以上検査対象を篩分けられないことも事実である.とくに,一般検査で原因不明な上腹部愁訴を訴える患者に切除可能な膵癌や胆管癌が見つけられたことは,一層検査の適応を厳格にすることを困難にしている.また,膵石がどの膵管内にあるか,慢性膵炎例で膵管にどのような変化があるかなど病変と膵管との関係を知るには非常に有益な検査である.
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