今月の主題 転換期に立つ検診
検(健)診実施上の問題点
糖尿病検診
佐々木 陽
1
1大阪府立成人病センター
pp.986-987
発行日 1973年8月10日
Published Date 1973/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402204852
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糖尿病の集団検診の歴史は非常に古い.本格的な検診の最初のものとしては,1947年に米国マサチューセッツ州OxfordでWilkersonらが行なった疫学調査を挙げることができる.その後この種の調査は世界各地で行なわれ,糖尿病の蔓延に関する知見も大きく進歩した.わが国では昭和34年の糖尿病研究班の全国調査が最初である.
糖尿病検診は今日ではむしろ健康管理システムの一環としての意義の方がより重要である.糖尿病は最近急速な増加を示している.例えば,昭和30年には人口10万対24であった糖尿病死亡率は,昭和45年には3倍を上回る7.4に達している.また地域・職域の集団検診や人間ドック,AMHTSなどで糖尿病の検査が広く行なわれるようになってきたが,その結果"糖代謝異常"の発見される頻度が高率であるのは日常経験するところである.糖尿病の集団検診はこのような糖尿病の増加傾向に対して,早期発見と適切な管理を徹底させ,糖尿病ならびにその合併症の進展を阻止することにその重要性が見出されるであろう.
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