Japanese
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特集 一般外来で精神症状を診る
Editorial
問診について
Interview for the Clinician
土居 健郎
1
Takeo Doi
1
1聖路加国際病院
pp.752-753
発行日 1992年9月15日
Published Date 1992/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414900555
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- Abstract 文献概要
精神症状を見分けるには問診と視診が必要
「一般外来での精神症状の診かた」という特集を組むにあたって,「問診のしかた」という題で一筆するよう要請を受けたが,問診のしかたを云々する前にいくつか言っておきたいことがある.まず精神症状を見分けるには問診だけでは不十分だといわねばならぬ.問診というと,普通,患者の訴えを聞いたうえで,予想される病気を医者の側で念頭におきながら,いろいろ問いただすことをいうのだが,精神症状の場合はなかなかこのようには事が運ばない.というのは患者の話を聞くとき,同時に患者の表情,物腰に注意する必要があるからであって,問診と視診が平行して行われると言わねばならぬのである.
次に覚えておかねばならぬことは,精神症状を見つけるための問診という構えが原則として適切とは言い難いという点である.例えば,この度の特集において,第一線で活躍しておられる専門の先生方が精神症状の主なものについて書いておられるので,それらの記事はきっと随分参考になるであろう.しかし,そこで得られた知識を憶えておいて,それを実際に患者を診る場合にあてはめるというやり方は決して感心できるものではない.言い換えれば,症状を見つけだすために問診するのではなく,眼の前に患者として来ている一人の人間を理解しようとして話を聞くという態度こそが大事である.
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