今月の主題 問診
系統別問診法
血液疾患の問診のすすめ方
日野 志郎
1
1東京逓信病院・内科
pp.700-701
発行日 1973年6月10日
Published Date 1973/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402204761
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"どこがお悪いのですか"なんて聞こうものなら,"それが分かっていれば,わざわざ病院まで来ませんよ"といわれそうな気がして,"どんなお具合ですか"と尋ねることにしているが,話をうまくもっていかないと,それから後の意志の疎通が順調に進まなくなる.その意味で,教科書の順に聞いていくのは愚の骨頂であろう.聞くべき項目を落としてはならないが,患者がもっとも関心をもっている事項からはじめるのがよい.
患者の言に耳を傾けることは大切だけれども,患者の中には枝葉末節にこだわって,余分なことばかりしゃべって,肝心なことはいわない人がある.大事なことを故意に隠していることもあるし,忘れていることもある.もちろん先入観にとらわれるのはよくないが,ある程度見当がついたら,適当な質問をまじえながら本筋へ話をもっていく必要がある.それには病気に対する広い知識,いまの場合には血液疾患に関する知識をもっていなければならない.しかしすべてに完全な知識をもつことは望めないから,ある程度のところで診察なり検査に移り,この病気,あるいはこの種類の病気ではないかと考えるにいたった段階で成書にあたってみて,聞き落としていたことを問いなおす,といった手順を繰り返すことが肝要である.
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