今月の主題 消化管ホルモンの臨床
目でみる消化管ホルモンの分泌
大坂 道敏
1
,
小林 繁
1
,
藤田 恒夫
1
,
笹川 力
2
1新潟大・第三解剖学教室
2長岡中央総合病院内科
pp.557-563
発行日 1973年5月10日
Published Date 1973/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402204722
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消化管ホルモンの起源細胞は,胃腸粘膜に散在しており,細胞質中の特殊顆粒が血管のある基底側(結合織側)に集積している.このため従来より基底顆粒細胞と呼ばれているが,近年その電子顕微鏡による観察が進むにつれて,下垂体や膵島などの蛋白性ホルモン分泌細胞ときわめてよく似た構造をもっていることが分かってきた.
これらの基底顆粒細胞は,主にその特殊顆粒の微細構造の違いに基づいて,10種類ほどに分類されている1).そして,各細胞型は,それぞれ別種の消化管ホルモンを分泌していると信じられている.顆粒がクローム親和性を示すことからEC(Enterochromaffin)細胞と呼ばれているものは,電子顕微鏡下では,まっ黒な不整形の顆粒を特徴とする(図6).この細胞はセロトニンを分泌することが知られているが,最近では,同時に何らかの蛋白性ホルモンも分泌するものと考えられるようになった.また,G細胞と呼ばれる細胞は,特有な明るいまるい顆粒を持ち,胃の幽門前庭部に集中的に分布するため,ガストリンを分泌すると考えられている(図2)底そのほか,膵島のD細胞に酷似し,D様細胞と呼ばれるものは,特有な灰色の顆粒をもち(図4),膵島のD細胞と同じく,その分泌しているホルモンはまだ確認されていない.その他の細胞型についても,現在そのホルモンの同定が,螢光抗体法その他の方法で盛んに試みられている.
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