今月の主題 内科最近の話題
呼吸器
サイレントゾーン・末梢気道障害の診断と治療
谷木 普一
1
1虎の門病院・呼吸器科
pp.433-435
発行日 1973年4月10日
Published Date 1973/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402204678
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末梢気道の病変が最近,にわかに注目されはじめた.それは2つの理由による.第1には閉塞性肺疾患の気道閉塞が,主として末梢気道障害にもとづくことが,しだいに明らかにされてきたからであり,第2には末梢気道障害はしばしば重篤な不可逆性呼吸不全を惹き起こすが,病変がある程度進展するまで.胸部レ線上でも,ルチンの肺機能検査でも,客観的な把握が困難で,いわゆるsilentzone, quiet zone1)2)として,医学的検索からとり残されている領域として認識されてきたからである.
従来内径2mm以下の末梢気道抵抗は,全肺抵抗の25%以下を占めるにすぎず3),ビーズによる広汎な末梢気道閉塞実験でも,その全肺抵抗に及ぼす影響は極めてわずかである4)とされているが,Anthonisenら(1968年)5)は肺機能検査が正常か,正常に近い慢性気管支炎患者が,換気血流比VA/Q異常を示すのは,末楕気道閉塞に帰因することを明らかにした.さらにHoggら(1968年)6)は慢性閉塞性肺疾患では,気道閉塞の部位が2mm以下の末梢気道であり,末梢気道抵抗は4-40倍に増加する事実を確かめ,以後気道閉塞における末梢気道の重要性が認識されるに至った.
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