症例
24年間経過を追求し得た空洞を伴った肺Sarcoidosisの一剖検例—〈Aspergillomaの合併〉
松井 泰夫
1
,
河辺 秀雄
2
1日赤中央病院・内科
2聖路加国際病院・内科
pp.2183-2190
発行日 1972年11月10日
Published Date 1972/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402204504
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Sarcoidosis(以下"S"とする)における空洞の形成は,その病変が基本的には壊死を伴わない肉芽腫性疾患ということから,その形成機序に興味が持たれるが,肺野型"S"の進展につれて肺線維症に移行した症例における空洞の形成に関する欧米文献は,それほど少なくはない.
図1,2は本院入院時の胸部X線写真と病理解剖所見であるが,このように立派な空洞を伴った肺"S"の症例はわが国では極めて少なく,しかも虹彩炎を初発症状として発症以来,24年間,内16年間は定期的に胸部X線撮影を行ない得た上,死後剖検し得たため,"S"における肺空洞の形成に関し貴重な示唆を得ることができた.従ってこの症例を中心に,肺"S"における空洞形成機序について述べ,併せてこの種病変におけるAspergillomaの合併についても考察を加えてみたい.
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