特集 これだけは知っておきたい診断のポイント
XV.小児科
3.注目すべき呼吸器症状
かぜの症状ではじまる子どもの病気
市橋 保雄
1
1慶大小児科
pp.1483-1484
発行日 1972年7月5日
Published Date 1972/7/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402204358
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かぜは人間の病気のうちでもっとも多い疾患である.そのくせ,かぜくらいとか,かぜひき医者とか,この病気ほど軽蔑されているものはなかろう.小児科領域における疾患の愁訴のなかで多いものを考えると,発熱,咽頭痛,頭痛等々あげられるが,いずれもかぜの症状と考えてさしつかえないものばかりである.以下かぜ症候群を含めた,かぜ類似疾患ないしはその周辺の疾患について述べる.
冷たい風にあたったり,寝冷えしたりした後に咽頭や喉頭がかゆく,鼻汁が出て発熱すると,俗にかぜをひいたという.はなかぜ,咽頭,喉頭の掻痒感を伴った上気道疾患をかぜといい,日常われわれのよく経験するところで子どもにおいては主訴を表現する能力に欠けることから,不安,不機嫌など不定の愁訴で始まり,原因がはっきりしないことが多い.加えて子どもは幼ければ幼いほど,全身症状,胃腸症状,神経症状などをもって突発することもあるゆえ,かぜの症状で始まる子どもの病気が問題になるのであろう.
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