特集 これだけは知っておきたい診断のポイント
X.血液系
1.出血傾向のための検査
線溶活性
佐藤 智
1
1東京白十字病院
pp.1374-1376
発行日 1972年7月5日
Published Date 1972/7/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402204317
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線溶という略語が,日本の医学界で通用しはじめてから久しく,これに関連する研究発表は枚挙にいとまがないが,臨床面では意外に測定されていないのはなぜだろうか.
全身紫斑を伴う出血でかつぎこまれた患者の血漿に,トロンビンを加えて凝固させたものが翌朝にとけてしまい(線溶活性亢進),抗プラスミン剤の大量投与で,紫斑も,血尿も,口腔内出血も直ちに消失してしまった症例をみては,線溶に興味をもたざるをえない.このようにドラマティックでなくても,特発性腎出血で苦しむ人に,また月経前期に毎月喀血,血痰を出す婦人に線溶活性亢進をみとめ,抗プラスミン剤投与で"血をみなくなる喜び"をともに味わうときに線溶に心ひかれる.線溶活性は出血のみならず,アレルギーに,炎症に,ホルモンに,動脈硬化に,いろいろな分野に関連をもつ.
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