特集 これだけは知っておきたい診断のポイント
VI.代謝糸
1.口渇と尿量異常よりなにを考えるか
多尿
杉本 民雄
1
1東京医大内科
pp.1170-1173
発行日 1972年7月5日
Published Date 1972/7/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402204241
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多尿(polyuria)ということば
成人が1日に排泄する尿量は1000ないし1500mlの範囲内にあるものが多いが,健康な人でも体格の大小,温度・湿度などの気候的条件と共に食物や水分摂取量によって大きく左右されている.また浮腫や体腔に液体の貯溜があって,これらの体液が急速に排泄されるときも当然尿量は増加する.しかし独立した症状としてとりあげられる場合,多尿ということばは持続的に尿量が増加した状態をさすものとされている.また,その量も多くの人達の記載では1日3000mlを越えるものを多尿と呼んでいる.特にここでとりあげられる多尿とは,3000ml以上の尿量が持続的にみられ,他に顕著な症状がなくても何か尿量増加をおこす病的な原因があり,これを検索する必要がある場合が問題となる.ここではこのような多尿をきたす疾患のうちから主なるものをとりあげて,日常の診療で考慮すべき事項をのべてみる.
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