話題
今日的問題が集約されていた例会—第100回「実地医家のための会」例会から
編集室
pp.407
発行日 1972年3月10日
Published Date 1972/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402204041
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全国的な開業医師たちの集まりである「実地医家のための会」の第100回例会が,さる1月16日,麻布の都市センターホールで開催された。シンポジウムのテーマは「患者と医師」で,いわゆる医師・患者関係から医の倫理,医学教育にまで広く討議が及んだ.その中からいくつか話題を拾ってみよう.
冒頭,目黒区の浦田卓氏は「これからの医の倫理を求めて」と題して,個人や地域社会を超えた入類の歴史と将来という巨視的な観点からこれからの医師のあり方についてのべた.一つは遺伝学の観点から医師はみずから用いる手段書くすりや診断手技など一が全体としての人類の遺伝子に悪影響を与えないよう細心の注意を払うべきであるとのべ,また先進国における著しい工業化の促進,人口の急増による公害問題の発生という事態にあって,地球は生物・無生物を含めて,一つの有機的なシステムと見做すべきであり,人間は入間以外の全生物との共存共栄をはかる生物倫理に基づいて行動すべきである,とのべた.すなわち,現代の医師は単に地域社会の人々の生命を守り,これを延長し,かつ人口増加をはかるというだけで安んじておれない事態にたち到っている,としてこれからの医師は人類の未来という点に深く思いをいたすべきであると結んだ.
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