話題
日本小児科学会福岡地方会第241回例会から
山下 文雄
1
1九大・小児科
pp.619
発行日 1966年5月10日
Published Date 1966/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402201285
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風疹と小児科医
A.福岡地方の妊婦の35%が,まだ風疹にかかつていない(抗体がない)と聞いて驚きました。わが国では風疹によつて起こつた奇形の報告も少ないし,たとえば日本脳炎のように不顕性感染が多くて妊婦の大部分はかかつているものと思つていましたが……。
B.風疹ウイルスの組織培養による分離の成功は1962年のことです。(わが国では九大小児科永山徳郎・布上董・三重野一明が初めて分離,1965年7月仙台市における第6回臨床ウイルス談話会で発表)以後抗体の消長,感染の様相が明らかになりつつあります。妊婦の35%が風疹にかかりうるということは,福岡地方(昨年より)のように風疹の流行があつた場合,風疹症候群※の発生が起こる可能性があることを物語るものです。奇形児の出生を防ぐということは小児科医がもつとも関心をもつていることで(出生前小児科学),近い将来風疹の予防法が実用化されるでしよう。そうすれば人類の悲劇,奇形の原因のひとつがなくなるのです。(九大植田ら,布上ら発表)
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