Editorial
膠原病の概念
勝 正孝
1,2
1川崎市立病院
2慶大内科
pp.19
発行日 1972年1月10日
Published Date 1972/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402203961
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1942年Klempererらは"全身の結合織の細胞間物質の基質に系統的に特徴ある病変,フィブリノイド変性"を示す一連の急性ないし慢性の疾患群に対し,膠原病なる概念を提唱した.すなわち膠原病とは,同じ原因による単一な疾患ではなく共通の病変を有する疾患群であり,KlempererらによりSD(PSS),SLE,RA,RF,PN,DMの6疾患があげられた.これらの疾患は,現在でも狭義の,あるいはオリジナルの膠原病と呼ばれ,ある意味では膠原病の基本的疾患をなしている.
以上のごとく,Klempererらの提唱した膠原病はなるほど純病理組織学的概念にとどまり,病因論は別として,臨床的その他の面では全く共通性がなかったのかというと,決してそうではなく,血清蛋白異常を筆頭に,臨床症状の面でも,発熱,関節痛(炎),筋痛,発疹,血沈促進,貧血副腎ステロイドの対症的有効性など多くの共通点があり,これらを度外視しては膠原病の概念はおそらくは空転し,少なくとも臨床家の現在程度の注目をひくには至らなかったであろう.
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