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特別掲載
アメリカから見た日本の医学教育(下)
Medical Eduとation in Japan, 1969
Thomas J. Brooks Jr.
,
K
pp.1825-1831
発行日 1971年11月10日
Published Date 1971/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402203918
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戦後の期間
19世紀の初頭から第2次世界大戦が終わるまで,医学教育の基本的理念というものは本質的には変わらなかった.戦後,アメリカ占領軍が教育課程を標準化するために徹底的な再編成を試みた2).実のところ,日本の教育システムはなくなり,教育はアメリカ・システムに従って作られた.多くの日本人たちは,その結果,教育水準の低下をきたしたものと感じていた.とにかく,新しいシステムが十分な基礎的な段階も踏まず,また日本国民の文化的伝統における衝撃に対してもなんらの配慮も払わずに作り上げられてしまった.
最も重大な誤算の1つは医学教育の分野においてであった.その当時まで,日本には「インターン制度」というものがなかったので,占領軍はこれは重大な教育上の手ぬかりであると判断した.したがって,患者の治療における指導医のもとに卒後の臨床訓練ができるように「インターン制度」が発足したのである.この訓練は他の近代国家においては不可欠のものと考えられるが,日本においては歓迎されなかった.というのは,インターン制度が「学位」課程に対し,直接対立するものであり,「医学博士」の完成をただ延期させるだけにすぎなかった.さらに,インターンは給料をもらわないため,インターン生活が余分な出費となった.
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