病態生理—最近のトピックス
循環器疾患における血管内血流パターン—超音波ドップラー法による観察から
仁村 泰治
1
1阪大第1内科
pp.1230-1231
発行日 1971年7月10日
Published Date 1971/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402203769
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超音波の血流への応用
心臓・血管内における血流の状況を簡易に知ることができれば,循環器疾患における病態生理の解釈や臨床への応用に期待されるところは大きいであろう.この意味で超音波ドップラー法による血流パターンの観察は,ここ1両年来注目されるようになってきている.
超音波ドップラー法は元来,微小運動検出を目的として,1955年頃阪大産業科学研究所・里村によって考案されたが,その生体応用の際,血流に基づいてもドップラー唸の得られることが見いだされた.さらにこれは金子・白石・加藤らによって臨床・基礎両面から検討され,ドップラー唸の周波数が各血流の流速に比例し,この周波数から流速を知ることができること,また脳動脈硬化などの際の著明な変化などが明らかとされている.米国でも1960年頃よりRushumer, Franklinらの研究が始まっており,テレメータなども開発されている.超音波の血流への応用は,なるべく非破壊的に血流の状況を観察せんとする方向と,露出血管も含め血流計として使用しようとする2つの方向があるといえる.ここでは前者について述べたい.
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