臨時増刊特集 身体所見のとり方と診断のすすめ方
●身体所見のとらえ方
X.四肢
1.内科・神経科の立場から
古和 久幸
1
1北里大内科
pp.850-857
発行日 1971年5月20日
Published Date 1971/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402203678
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
四肢の主要な機能は運動である.これは中枢神経-末梢紳経-筋肉・関節などの総合機能であり,これらのうちのどれか1つに障害があってもスムースな運動が行なわれなくなる.非常に軽い障害の場合には日常診療でしばしば見落とされることがあるが,ちよつと工夫をすると容易に障害の存在を見出すことができる.たとえば一側の不全麻痺の患者で,粗大な四肢の運動にはなんらの異常がないようにみえても,手指を折り曲げて数をかぞえる運動を迅速に行なわせると麻痺側で下手であることが明らかになる.また,筋強剛が全く欠如していると思われるパーキンソン患者で,筋緊張度の検査に際し,患者に話しかけて注意をそらすと筋強剛が顕著になることはよく経験する.
このように身体所見をとるには,そこにあるものをpick upするのみでなく,隠されたもの,またはあまり明らかでないものを見出す工夫も大切なことである.
Copyright © 1971, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.