治療のポイント
肺結核症の初期—その見つけかた扱いかた
梅澤 勉
1
1警視庁健康管理本部
pp.582-584
発行日 1971年5月10日
Published Date 1971/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402203606
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なぜ結核の治療はおもしろくないのか
肺結核症は初回の治療で勝負をつけなければならない.そのためには早期に見つけ出し,直ちに治療のルートにのせることが最もたいせつである.健康診断が普及したので,肺結核症は健康診断でほとんど全部見つけられているはずである.こうした認識はしごく当り前のようであるが,現実にはそうなってはいない.結核管理の面で抜け穴がいくつかある.その抜け穴が難治患者やくり返しの再発を生み出すもとになっている.
もともと肺結核症には初期という段階はない.無自覚性慢性の病気では発病を初めて発見したときが初期である.そのときの病勢の判断,治療の方向,患者の扱い方によって初回治療の効果が左右される.ところが,臨床医にとって肺結核症は全く興味のない病気になってしまった.そのうえ,肺結核症は見つけることも治すこともやさしい,というのが臨床医の通念になってきた.
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