日常検査のすすめかた
貧血
河合 忠
1
1日大臨床病理
pp.204-205
発行日 1971年2月10日
Published Date 1971/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402203505
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貧血が明らかとなるまで
いわゆる貧血症状といわれている動悸,立ちくらみ,顔色がすぐれない,などの訴えは比較的急激に貧血が現われる場合に認められるものである.貧血が慢性に経過しながら徐々に現われる場合は上記のような訴えがまったくないことが多い.また,顔色,眼瞼結膜などの色もかなり貧血が重症にならなければはっきり貧血様にならないものである.したがって,貧血と診断するためには血液検査,とくに血色素量を定量しなければならない.成人男子では14g/dl以下,成人女子では13g/dl以下を一応貧血とする.血色素量の代わりに赤血球数の算定がおこなわれることがあるが,技術的変動の幅が血色素量測定(シアンメトヘモグロビン法)で2-3%,赤血球数算定で10-15%であることを考えると,当然信頼性の高い血色素量を診断の重要な指標とすべきである.
このようにして貧血の存在が明らかとなったら次のような順序で鑑別を進めてゆく.
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