特集 貧血
貧血とは
橘 敏也
1
1聖ルカ国際病院内科
pp.34-38
発行日 1963年1月1日
Published Date 1963/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911822
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顔色が悪いとか,立ちくらみがするといって,貧血ではないかと心配して,私どもの外来を訪れる患者さんは少なくありません。確かにこれらの症状は貧血のときの訴えでもあります。しかし,この症状があるといって,それだけで貧血と決めてしまうわけにはまいりません。それは貧血とは関係のない顔色のわるさ,貧血とはまったく異なった病態生理に基づく立ちくらみの症状の方が多いくらいだからです。一方ではまた脚気だ,ノイローゼだ,肝臓病だ,更年期症状だと,貧血を誤診される疾患は少なくありません。
すなわち,貧血症は,自覚的にも他覚的にも,他の疾患と非常に誤られやすい性質のものです。そこで,ここでは貧血の意義とか原因,症状,診断,治療などについて一とおりのまとめをしてみたいと思います。
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