診断のポイント
低ビリルビン血症を示す疾患—頻度および臨床検査成績との相関
富田 仁
1
1京大中検
pp.1568-1570
発行日 1970年10月10日
Published Date 1970/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402203369
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
京大病院の統計から
血清ビリルビンの正常値は,Meulengracht黄疸指数5以下とされていて,高ビリルビン血症(黄疸)に関する文献は著しく多いが,低ビリルビン血症に関するものは,ほとんど見ない.わずかに柴田教授1)の臨床生化学診断法に,黄疸指数の減少は,身体の消耗または栄養不良を反映すると記載され,最近ではフェノバルビタール使用中のてんかん患者血清に,低ビリルビン血症が見られるとの文献2)がある程度である.しかしながら検査室にて観察していると,非常に色のうすい血清が,尿毒症などで見られるので,それに関する統計を行なった.
1958年9月より1969年3月まで,10年6カ月間に,京都大学病院内科I,II,IIIおよび小児科入院患者で,診断が比較的に明確になった症例で,Meulengracht黄疸指数が測定された症例9,668例について調査した.9,668例中,Meulengrachtが1あるいは2を示した症例は,459例(4.7%)あり,頻度としては多いものではない.
Copyright © 1970, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.