特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集
血液生化学検査
酵素および関連物質
ビリルビン
村脇 義和
1
1鳥取大学医学部機能病態内科学
pp.169-171
発行日 2010年10月30日
Published Date 2010/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402104728
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
正常人においては1日250~350mgのビリルビンが主として肝と脾の網内系で生成されるが,そのうち80~85%は老化赤血球のヘモグロビンに由来し,残りは骨髄の無効造血,肝のヘム蛋白に由来する.生成された非抱合ビリルビンはアルブミンと結合して肝に運ばれ,OATP(organic anion transporting polypeptide)を介して肝細胞に取り込まれる.その後,輸送担体glutathione-S-transferaseにより小胞体に運ばれ,そこでbilirubin UDP glucuronosyl transferase(UGT)によりグルクロン酸抱合を受け,抱合ビリルビンとなり,毛細胆管側膜に存在するMRP2(multidrug resistance protein 2)を介して胆汁中に排泄される(類洞側膜にはMRP3が存在する).したがって,血中ビリルビンの上昇はビリルビンの生成増加,肝細胞でのビリルビンの摂取,輸送,抱合,排泄の障害,胆道系での排泄流出障害で認められる.血中の総ビリルビンが3~4mg/dlになると黄疸が明らかとなる.臨床的にはビリルビン測定は肝・胆道系疾患,溶血性疾患,体質性黄疸などの診断,鑑別,経過観察,予後判定などに利用される.
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