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Perspective●展望
糖尿病患者管理における高血圧治療
Treatment for hypertension in diabetics
赤井 裕輝
1
1東北労災病院 糖尿病代謝センター
pp.472-473
発行日 2012年9月15日
Published Date 2012/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415101402
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糖尿病患者が健康で過ごすには良好な血糖コントロールが必要である.しかし,洋の東西を問わず血糖コントロールは難しい.Steno2研究では強化療法群といえども目標HbA1c達成率はわずか15%であった.にもかかわらず,各合併症の進展率は末梢神経障害を除いてほぼodds ratio 0.4に抑制されているが,これは血圧や脂質の治療目標達成率が高かったからである.糖尿病患者の血糖コントロールが思うように改善できない場合でも,血圧や脂質を厳格にコントロールすることで,合併症の発症や進展をある程度抑制することができるとすれば,治療困難者を抱える糖尿病医諸兄にとって一筋の光明となるものと思う.何といっても,ダイエットと薬のバランスを取り損ねるだけで,高血糖から一転して低血糖に悩まされてしまう血糖コントロールの困難さに比べれば,薬が効きすぎて下がりすぎてしまうことのほとんどない血圧管理ははるかに容易である.糖尿病患者の治療をワンランクアップしようとする時,ダイエットやエクササイズ指導法をレベルアップし,さらに糖尿病治療薬を駆使してよい血糖コントロールを目指すとともに,減塩指導と降圧薬の駆使によって良好な血圧管理を達成することも,重要なもう一つの柱となる.
糖尿病治療薬の進歩と並行して,多岐にわたる作用機序の降圧薬が開発された.同じ糖尿病患者でも合併症の有無,特に腎症や心血管疾患の合併の有無や重症度を考えての降圧薬の使い分けが求められる.さらに,目標血圧を達成できずに薬の追加を勧めても同意が得られない,処方はしてもアドヒアランスに問題がありそう……,となると,さらに巧みな納得させる説明技術も求められる.
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