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Current Abstracts
浦田 卓
pp.1140-1141
発行日 1970年7月10日
Published Date 1970/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402203257
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腎臓移植に対するさまざまな反応
Kemphとその同僚たちは,腎臓の同種移植術をうけた患者37名の家族に生じた,精神の内部の変化と個人間の変化のうち,その2,3について記載している.患者たちはいずれも,もし腎臓が移植されなかったら,間もなく死んだであろうと思われるものばかりであった.
患者の家族のメンバーのなかで,いちど腎臓を提供することに同意しておきながら,あとになって取り消したものは,まれであった.受領者に対する提供者の態度は,かなりさまざまであった.そして,提供者と受領者の過去の関係のいかんによって,いくぶん違っていた.全例において提供者は,腎臓を移植しても受領者はそう長くは生きられないだろうということを知っていた.両者の間に強い愛情のキズナが存在していると,提供者は,死に対する受領者の涙ぐましい奮闘に,かなり深い関心をもつようになる傾向があった.提供者は一般に,受領者に対して為すべきことはすべて為し終えたという感じをもつことによって,来たるべき死という問題を解決していた.
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