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Current Abstracts
浦田 卓
pp.1543
発行日 1971年9月10日
Published Date 1971/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402203847
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食塩注射による疹痛の寛解
低温食塩注射を腰部クモ膜下腔に注入すると,悪性疾患の癒痛を安全かつ長期に寛解できることが,1967年にわかったが,その後,この治療の応用範囲は拡大されて,灼熱痛causalgiaやヘルペス後神経痛のような非悪性状態にも応用されるようになった.患者はまず,10-20mgジアゼパムの静注によって中等度のウトウト状態に陥らせる.ついで,患者を坐らせ,18口径の針を大脳槽に刺し入れるが,これは,上半身の痛みをより直接に寛解させんがためである.腰髄硬膜に針をもう1本刺入する.10-20秒後に,2-3℃の食塩水約50ccで脊髄と神経根を灌流する.
治療中の副作用としては,体の傾斜,強直性眼球偏位,顔筋と腕筋の筋線維東レン縮,一過性の呼吸緩徐と徐脈その他があるが,副作用はすべて,1時間以内に消退した.治療した患者8名のうちの6名は,悪性腫瘍にかかっており,頸部,上腕,胸部および背部に落痛を覚えた.この6名のうち4名は,その後1-3ヵ月で死亡するまで疼痛をまったく覚えなかった.
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