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Current Abstracts
浦田 卓
pp.1758-1759
発行日 1970年12月10日
Published Date 1970/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402203421
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新生児の溶血性疾患にみられる低血糖症
溶血性疾患にかかっている新生児に低血糖症の危険が多いことが,Priceによって記述せられた.溶血性疾患の重い赤ん坊では,低血糖症がたいへん多いのである.しかも,これらの新生児では,低血糖症をしばしば見過ごすが,それ以外にも,代謝的アシドーシス,低カルシウム血症,高カリウム血症または低体温が,まま存在する.脳の損傷—これは,低血糖症が原因でおきるか,または,ビリルビンの抱合にさいして必要なブドウ糖が十分にないためにおきるかの,いずれかである-を防止するために,われわれは治療を即刻開始しなければならないのである.
著者が取り扱った患者のうち,その2人に,ランゲルハンス島が増生していたことが,剖検のさい発見されたが,この所見から,低血糖症の原因的因子は過インスリン血症ではないかという疑問が生じる.この説を裏書きする証拠はこんにちなお,完全とはいえない.この低血糖症は,交換輸血と関係はないようである.著者のシリーズで生存している4例は,目下正常に発育している.
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