Current Abstract
5-FUによる膀胱ガンの治療—重大な役割を演じた二重盲検法—Cancer, Nov. 1968
pp.974
発行日 1970年5月20日
Published Date 1970/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402203209
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Proutとその共同研究者らは,5-フルオロウラシル(5-FU),を膀胱ガンへ試験的に用いたその成績が,報告者のいかんで,腫瘍がたいへん速い退縮のスピードを示したというものから,ぜんぜん反応なしというものまで,大幅に喰い違っていることに注目した.で,その結果として,膀胱ガンに対して5-FUがはたしてどういう効力を現わすかをテストするために,泌尿器科医たちの間に緊密な研究体勢を敷いたのである.十二カ所の医学センターの研究者たちは,未治療の患者にプラセボをもちいる二重盲検法を基礎に,膀胱ガンの患者について研究をすすめた.腫瘍の成長はもちろんのこと,5-FUの毒性その他の効果を見いだすため,患者の組み合わせや反復実施する検査が計画され,これらはあらかじめ,プロトコルに準備しておいたのである.
さて,患者36名―そのうちの14名はペアに組み合わされた―に関するデータは,ペアのプラセボ患者の7例中5例が,よりよい反応を示していることを明らかにした.組み合わせを無視すると,腫瘍の成長は5-FUの治療をうけた患者においても,少なくともプラセボ患者と同じ程度に速かったのである.5-FUはブラセボとくらべて何の利点ももっていないことを実証したという結論が,下された.
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