内科専門医のための診断学・1
心臓聴診法(その1)—心音
太田 怜
1
1自衛隊中央病院内科
pp.106-110
発行日 1970年1月10日
Published Date 1970/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402202951
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
このシリーズをはじめるにあたって
日本の内科大講座制は,いろんな意味で,現在,改革をせまられている.かりに,これが臓器別の小専門講座に生まれかわったとして,円満な内科臨床医がどうやって養成されるのか,また,スペシャリストと称される人に,いままでいわれていた意味での内科の知識はいらないのか,いるとすれば,それをどうやって得ればよいのか,ということが問題となるであろう.小専門の講座に分かれても,そうしなければならぬということであれば,必然的にpostgrad-uateの教育は,各専門のdepartmentをrotateするという制度になる.
さて,そうなったうえで,今度はどうやってそれらの人々を教育するのか,教育の内容はどうするか,ということが問題となる.つまり,五分の力で投げればよいのか,全力投球すべきものか,ということである.これから述べようと思う心臓聴診法についていえば,どうせ専門家を養成するわけではないのだから,収縮期雑音と拡張期雑音の区別ができるところまで教えればよいのか,それとも,この収縮期雑音はこういう形をしているからIHSSが考えられるというような,専門家でさえも首をひねるところまで教えるのか,ということである.
Copyright © 1970, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.