Japanese
English
ジュニアコース
心音図(1)
Phonocardiography (1)
太田 怜
1,2
Satoshi Ota
1,2
1自衛隊中央病院内科
2三宿病院循環器科
1Internal Medicine, J. S. D. F. Central Hospital
2Cardiology, Mishuku Hospital.
pp.71-77
発行日 1965年1月15日
Published Date 1965/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201406
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はしがき
心音の記録は,心電図と同じように,Eintho—venによって創始されたものであるが,心電計のその後の目覚ましい進歩に比べてみると,それ程の普及を示していない。その理由の一つとして,次のことがあげられる。すなわち,心電図では,冠不全像とか,心筋硬塞像とかのように,心電図の上ではじめて明らかにされるような事実があるのに対して心音図のばあいは,あくまでも,聴診所見の固定化という域を出なかったからである。その固定化も,心音計の幼稚な時代では,耳にははっきりきこえるものすら,描記することが困難で,逆にいえば,すぐれた耳できいた聴診所見の方が,わるい心音計で記録した心音図よりも,日常の臨床診断の上で,はるかにたよりになるという矛盾すらあったからである。
動悸や胸痛を訴える患者がいたとして,それが真に虚血性心疾患によるものか,あるいは単に神経症によるものかを判別することは,今日,心電図をおいては考えられないが,ある収縮期雑音が器質的なものか機能的なものかを決定するのに,心音図が唯一不可欠の方法であるという事実は,まだ残念ながら見つかってはいない。
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